ニッポンでの外断熱改修の実例

RC住宅のコラム-ニッポンでの外断熱改修

「蓄熱性の高いコンクリート」を味方にして、快適な住生活の勝ち組になる

建築技術の結晶、RC造住宅のメリット

日本の住宅は古来より木造が中心でしたが、1970年代より建築技術の発展に伴い鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)の住宅が増えてきました。RC造はビルやマンションだけでなく、その高い耐久性から個人の住宅にも用いられるようになり、「コンクリート打放し」という独特の表情が好まれ、建築家やデザイナーなどに採用されるようになりました。しかしながら、木造や鉄骨造と同じく、RC造にも長所と短所があります。そういった特性を理解しないままに住宅を建てると、非常に過酷な住環境の中で生活を強いられることにもなりかねません。

ヨーロッパなどでは、省エネルギー性の観点から、住宅の「外断熱改修」を行うことは一般的ですが、日本ではまだまだ認知されていないのが実情です。今回は、RC造の特性、つまりメリットを最大限に引き出すための改修工事を日本の住宅実例からご紹介します。

RC造は鉄筋コンクリート造といわれる通り、鉄筋とコンクリートを併用することで、引き張り力に強い鉄筋の特性と圧縮力に強いコンクリートの特性を活かし、互いに補完し合うことで高強度の構造躯体を作ることが基本となります。これにより、自由な意匠性と高い耐久性をもつ建築物が期待できます。「強くて美しい」ことが、最大のメリットです。

デメリットは”悪い意味”での蓄熱性

一方で施工に際して高い技術力が要求されることや木造や鉄骨造に比べて高コストであることから、大量供給が難しいという点も持っています。

また、コンクリートは比重の重い材料ですから、「熱しにくく、冷めにくい」。つまり熱をため込む/蓄熱する という性質があります。

たとえば夏には、建物の表面温度は70度にも達します。その熱が厚さ20センチのコンクリートに溜め込まれます。それを建物の内側で断熱しますが、効き目はほとんどありません(日本のRC造の建物の90%以上が内断熱もしくは無断熱)。冬にはじわじわと冷やされたコンクリートは冷たい塊となり、「底冷え」の原因になります。日中、日差しが照りつける時間帯から暖房をONにしておかなければ、夜を快適に過ごせないほどです。

また、「結露」も大問題。アイスコーヒーのグラスと同じように、冷たいものと温かいものが触れ合う場所では「結露」が必然的に発生します。屋内の断熱材の裏側で「内部結露」が発生してしまうのです。表面的には分からなくても、壁の内側ではちょっとした惨事となっています。たっぷりと水を含んだ断熱材は、カビの温床になり、そのカビの胞子がシックハウス症候群の原因になっている場合もあるでしょう。

デメリットをメリットに変える「外断熱改修」

RCの建物では、「外断熱」をしなければ劣悪な居住環境になってしまうことは必定です。しかしながら、デザインと称して「内外打ち放し」の建物にするデザイナーが多いのが現状です。そんな住宅で冬を過ごすことは、健康上おすすめできません。厚さ20センチのコンクリート壁体が、しっかりと「冷蓄熱」してしまうからです。「結露」は当然起こりますが、「内部隠蔽」ではなく、具体的に壁が濡れます。コンクリートという比重の重い材料を使った住宅を考える場合は、当然外側での断熱が必要になるのです。これは、考えてみれば当たり前のことなのです。

今回のオーナーもRC住宅への憧れから、設計施工で住宅建築をおこなう施工会社に依頼をされました。しかしながら、施工会社の知識と経験不足からか、完成したのは断熱のされていない内外打放しの住宅。先述した通り、住環境は非常に過酷なものとなりました。

オーナーのお話では、冬の朝、布団から出ている顔は冷えきっており、室内でも吐く息は真っ白。室温は一桁台の前半という気温。日中は気温の上がる屋外に比べ、冷えきった躯体の中は一向に暖かくならず、夜になり、また同じような朝を迎えるといった生活でした。寒さに耐えきれず使用する暖房の光熱費は毎月10万円以上にもなりました。夏などは、エアコンをつけっぱなしにしても夜間でも30度を下回ることはない、24時間真夏日の状態でした。

もともと、ご夫婦と愛犬との生活でしたが、お子様の誕生と共に思い切って決意され、「外断熱改修」に踏み切りました。

before

これまで苦しめられたコンクリートの躯体を断熱でスッポリと覆ってしまい、蓄熱体として味方につけることにしました。非常にしっかりした躯体でしたので、壁面には外壁と断熱材が一体となったGRCパネルを貼るだけの工事で進められました。加えて、屋上(屋根面)も断熱工事と防水工事を行なうことで、「外断熱」に覆われた蓄熱体が完成しました。

その後のお住まいはというと、冬の朝でも室温は二桁台になり、夏の室温も快適な温度である25度前後を維持できています。当然ながら、光熱費も大幅に削減され、身体にもお財布にも優しい住宅に変貌しました。外断熱改修に要した費用は、光熱費の削減分によって15年程度で回収できる見込みとのことで、住環境の改善と合わせて考えると、「一年でも早く着手すべきだった」というのがオーナーの感想。

断熱の有無で、ここまで住環境が変わるということを実体験できる機会には、なかなか恵まれませんが、自分たちの取組みを徹底することを改めて決意しました。

after

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