共に成長する住まいであるために

よく耳にする言葉として、「住宅が本当の意味で完成するのは、住まい手が生活してからである」というものがあります。
私共のご提供する住宅も、まさにそのことを体現するべく、住宅そのものが必要以上に主張せず、住む方々の暮らしが体現されることが理想と考えています。
ただ、この言葉にもふと疑問が沸くときがあります。
住宅の完成とは、どのような状態を表すのか?ということです。
建てたときの家族構成のまま過ごす期間は実はとても短く、家族が増えたり減ったり、趣味が変わったり、自分自身の体調が変化したりと、それによって住空間に求めるものも常に変化します。

そうなると、変化に対応し、共に成長する住まいが求められることはいうまでもありません。
しかしながら、ここで要注意なのは、間仕切りのない簡素な空間を作ってしまうことです。「あとで自由に間取りを変えられます」という半ば無責任な空間。完成時にはシンプルで綺麗でも、素材の劣化も想定しておかないと、成長どころか劣化する住まいとなってしまいますし、どのような成長を想定するかは、ある程度シミュレーションが必要になります。
成長スピードに比して、劣化のスピードのほうが早くては、本当の意味で成長する住まいにはなりませんので、住宅が持つべき基本性能は高くしておくことが必要不可欠です。

ご紹介する住宅は、施主様が自ら名付けられた「未完箱(みかんばこ)」の書斎。竣工時にはシンプルなコンクリートのカウンターだけの無機質な空間でしたが、ご主人の書斎として、仕事や趣味が明確に表現され、息遣いの感じられる空間になりました。
RC外断熱工法で建てたこの住宅は、室内にコンクリートの打放し面が露出しますので、壁紙や塗装に比べ耐久性が格段に高いだけでなく、外断熱の効果で蓄熱された内部空間は非常に快適です。

この「未完箱」のコンセプトは、その名の通りに完成までの伸び代を残した住宅です。ただし、安普請とならぬように、コンクリートの頑強な躯体と、外断熱の快適性を確保することで、住宅の基本性能は高くしたまま、華美な装飾を究極に削ぎ落とすことを目指しています。
完成時に小さかったお子様たちも成長し、二階に設けた広いホールも、今ではそれぞれの子供部屋にリフォームしています。まさに第一次成長期を迎えた未完箱ですが、今後のご家族の変化とともに更なる成長を続けることが楽しみでなりません。

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