庇があることの効果

最近は箱形の外観をした住宅が増えていて、私共の設計する住宅もほとんどが四角い形状をしています。斜線制限などにかかる場合には、建物の配置や壁のラインを調整してまで四角いかたちを保とうとしています。
これには、デザインとして流行のほか、防水技術などが向上したことによってフラットな屋根形状が実現しやすくなったことも考えられます。

一方で、こういった四角い家は、外壁や窓に直接雨がかかりやすいため、細かな納まりに配慮しないと、汚れなどが残りやすいといった欠点もあります。また、大きな窓などは、日差しを直接取込みやすくなるため、夏場の強烈な日差しによる熱も一緒に呼び込みます。

古くからの日本の住宅は軒の出(庇等)によって、四季の変化に伴う日差しを効果的に遮断したり、取り入れたりして来ました。例えば、東京では、夏至正午の太陽高度は78度近くになり、かなり高い位置から日差しが降り注ぎます。一方で、冬至正午の太陽高度は30度ちょっとといった感じで、夏至に比べて45度以上も低い位置から日が差すことになります。
夏場の強い日差しを遮りながらも、冬場の暖かい日差しを取込むために庇はとても有効な手段だったのです。

stcolumn01

今回の住宅は、この「庇」がデザインの最大のテーマです。
クライアントの希望であった「庭への開放感」と「住環境」の両立を実現するために、構造的な限界ギリギリまでの大屋根をかけ、庇としての効果をもたらすようにしました。初期コンセプトの段階では、機能面での効果と周辺環境(近所の住宅)とのバランスが主眼でしたが、設計を進めるにつれて、非常に重要なデザインアイコンになっていき、結果としてはデザインと機能を両立させることができました。
とかく直射日光ばかりが明るさの要素のように言われがちですが、直射日光を避けながら取込む安定的な明るさが、住環境には最も適していると思います。
また、庭に向けて開かれた大開口も、庇のおかげで、ほとんど汚れる事無く過ごされていることを付け加えさせて頂きます。

カッコいいだけではダメなこともあるんですね。

Tweet about this on TwitterShare on FacebookGoogle+Pin on Pinterest