設計者が自邸を建てるということ 第1話

これまで数多くのクライアントの住宅を設計させて頂いている私たちですが、自らの住まいについては、なかなか無頓着なことが多くあります。現在の日本を代表する有名な建築家も、現時点では一戸建ての自邸は持っていないとか。かくいう私も、自宅は中古マンションをリノベーションして住んでいますので、自邸の建築はまだまだ先のことになりそうです。そんな中、弊社スタッフが都内に土地を購入し、自邸を建てるということになりました。先日、一年以上のプロジェクトもようやく完成を迎え、竣工写真を一緒に撮る最中に彼の体験談を聞きながら、自らの専門知識を自らのために使うということ、また、その経験から得る知識が今後の仕事において大いなる武器になるとの期待を持ちました。
また、クライアントの家づくりプロセスは、細部までなかなか公開できませんが、これは良い機会!と感じ、彼の家づくりプロセスを大公開させて頂くことにしました。

彼が自邸を建てるきっかけは、永く住んでいた賃貸マンションの契約更新と高い賃料への疑問という、比較的多く見られるパターンでした。
住宅購入を決意した彼は、仕事を通じての経験から、立体的な空間を楽しめる一戸建てを迷わず選択しました。斯くして、ここから彼の経験と知識、コツコツと貯めた財産をつぎ込んだ一大プロジェクトがスタートします。

ご夫婦共に関東圏の出身ではないので、家族や親戚の土地が利用できるという恵まれた条件もなく、土地探しからスタートすることになりました。月々のローンの返済額から総額予算の目安を建てて、そこから土地と建物に当てるコストを割り出して物件探しの条件を組み立てました。普通であれば、住むエリアや条件、物件自体を決めるのも非常に苦労しますが、クライアントの土地探しを無数にこなした経験から、大量の土地の販売資料の中から、自らの目利きでピックアップした数軒を見て回ったのみで、自分たちの安住の地を決めました。
コストはもちろんのこと、建てる家をイメージしながら土地を選ぶというのは、私たちが実践している「土地探しシステム」そのものです。きっと、これまで採用されなかった無数の参考プランが彼の決断を後押ししたものと思うと、ボツプランの数々が報われる時がきて本当によかったと思います。

計画地が決まったあとは、融資の選定など、色々と現実的なステップが待っています。

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